CryptoQuantの「5.5万ドル底値説」をどう読むか
2026年4月10日にCointelegraphが報じたところによると、CryptoQuantのオンチェーン分析では、ビットコイン(BTC)が2026年後半に5万5,000〜6万ドル付近で「iron bottom(強固な底)」を形成する可能性があるとされています。背景には、MVRV Zスコアなどの指標が、過去の大底局面と同じような「割安圏」にはまだ入っていないという見方があります。
ただし、この見立ては「ここが必ず底になる」という断定ではありません。CryptoQuant側の説明は、あくまで過去の局面との比較から導いたシナリオであり、Cointelegraphの記事でも、2026年後半にかけて市場が一段の調整局面を経る可能性が示されているにとどまります。
MVRV Zスコアが示すのは「割高・割安」の位置
今回の材料で中心となっているのが、MVRV Zスコアです。MVRVは、BTCの時価総額と、最後にそのBTCが動いた価格を基準にした実現時価総額の差をみる考え方で、市場が過熱しているのか、逆に売られすぎているのかを確認する手がかりになります。CryptoQuantの解説では、過去の強い底打ち局面では、このスコアがゼロを下回る場面がみられたとされています。
つまり、今回の分析は「価格がいくらまで下がるか」を機械的に当てるものではなく、市場参加者の含み益・含み損の状態が、過去の底値形成とどれほど近いかを見ていると理解すると分かりやすいでしょう。なお、CryptoQuantのページでもMVRVはBTCの市場指標として提供されており、この指標が同社の分析で重要な役割を持っていることが確認できます。
Cointelegraphが伝えた「2年の蓄積期」という見方
Cointelegraphの記事では、CryptoQuantの分析として、2026年後半の底打ちのあとに2年程度の蓄積期が続く可能性にも言及しています。ここで重要なのは、これは相場の上下を予測する単純な目線ではなく、過去サイクルを参照した「時間軸」の話だという点です。
市場では、半減期や流動性環境、機関投資家の需給など、複数の要因が重なって価格が形成されます。したがって、こうした周期的な見立ては、将来の値動きを決めるものではなく、長期の市場構造を考えるための参考材料として扱うのが現実的です。これはCryptoQuantの見立てに限らず、一般にオンチェーン分析全体に共通する位置づけです。
直近のBTC相場は「急落一方向」ではない
一方で、足元のBTC市場は単純な弱気相場の継続だけでは説明しきれません。Cointelegraphは4月10日、米CPIが市場予想を下回ったことを受けてBTCが7万3,000ドル近辺をつけたと報じています。また翌11日には、建玉増加とマイナスの資金調達率を背景に、ショートスクイーズの可能性が指摘されました。
さらに、地政学リスクをめぐる報道では、ビットコインが70,000ドル近辺で推移し、原油や株式とともにリスク選好の変化に反応していました。つまり現時点では、BTCは長期の底値シナリオを語る局面であると同時に、短期ではマクロ指標やニュースフローに敏感に反応する状態が続いています。
この記事のポイント
- CryptoQuantの分析は、2026年後半の5.5万〜6万ドル台を底値候補として示したものです。
- 根拠はMVRV Zスコアなどのオンチェーン指標で、過去の底打ち局面との比較が使われています。
- ただし、これは将来の価格を保証する予測ではなく、複数シナリオの一つとして見るのが適切です。
まとめ
今回の「5.5万ドル底値説」は、ビットコインの長期サイクルを考えるうえで注目される分析ですが、投資判断に直結する材料ではありません。オンチェーン指標は相場の温度感を読む助けにはなりますが、実際の価格形成はマクロ経済、需給、地政学、規制の影響を受けて大きく変わります。今後は、MVRVの動きに加え、ETFフローや金融政策の変化もあわせて確認する必要があります。
